「あだち工場男子」に携わった、カメラマン、編集者といった裏方の想いをご紹介!

 

◆プロフィール

永井公作

株式会社アトンス 代表取締役

映像制作や写真撮影、動画マーケティングを行う。
あだち工場男子では、フォトグラファーとしてすべての写真撮影を行う。

 

◆プロジェクトに参加した経緯

足立区経営者の先輩である小早川さんから本プロジェクトの話を聞いていました。
そして私がFacebookで男性のポートレート写真などを投稿していたので、それを見た小早川さんから「永井くんカメラマンやってみない?」と声をかけていただきました。
企画として面白いと思いましたし、尊敬する先輩からの依頼です。さらには自分の代表作となるかもしれませんので実績作りにはうってつけです。それらを考えた結果、自分としては撮影を断る理由は一つもありません。即決いたしました!

◆この撮影にかけた想い

20歳ぐらいからカメラで遊んでいましたが、仕事として撮影を始めたのは26歳ぐらいからです。
仕事での撮影はお客様の要望があるので勝手な撮影はできません。
今回「あだち工場男子」の撮影のお話を頂き、久しぶりに自分の作品として撮影が出来るとわくわくしていました。
作品として撮影するときに重要なポイントは、どこで何を撮るかです。
「機械に囲まれた男心をくすぐる空間」
そしてそこには「真剣なまなざしの男」がいる。
その環境を私はプレゼントされました。良い写真が撮れないわけがないですよね!

 

◆この撮影で苦労したこと

今回の撮影で最も気にしたことは「自然な表情」です。
仕事中の工場男子はみんな真剣で、表情は完璧でした。
撮影ではモデル立ちなどのポージングを要求することもありました。
ただ、仕事中の表情と比べるとどうしても不自然になることが多かったのです。
その為、そういった撮影にも時間をかけていた割には、実はほとんどボツになってしまっているんです。
せっかく私の趣味に付き合って頂いたのに申し訳なかったと思いますが、やっぱり、男は仕事中の表情が一番かっこいいと思います。
余談ですが、女性はポージングしても自然な表情出来ちゃう人多いです。(笑)

◆掲載されている中でお気に入りの写真

27P,42P,57P(左上

◆プロフィール

小島 由子
(Cranemark design)

1984年生まれ 2006年、阿佐ヶ谷美術専門学校スペースデザイン科を卒業後、店舗デザイン設計会社のデザイン室に勤務。
その後、建設事務所にてリフォーム案件中心の現場監理、建設系ベンチャー企業に勤務。
2012年から、フリーランスとして活動を開始。
主な業務は印刷物のデザインと編集。
あだち工場男子では、編集業務に参加。

 

◆プロジェクトに参加した経緯

当社は『Attract』というフリーペーパーを発行しています。
2016年、しまや出版の小早川社長を取材したことをきっかけに、このプロジェクトの構想を聞きました。
撮影完了までは男性のみで進めていたということでしたが「編集者の立場で、かつ女性目線での意見がほしい」とお声がけをいただき、プロジェクトに参加することになりました。

◆編集会議を幾度となく行いました

「果たしてこれは女性からの支持が得られるだろうか?」
これが第1回目の編集打ち合わせ、沢山並べられた「男臭い工場男子」の写真を見て私が率直に感じた気持ちでした。
編集会議では唯一の女性として意見を求められました。
そして例えば「彼らが女性を口説く際の決め台詞」や「彼らが製作しているものに対して愛情表現してもらい、胸キュンワードを引き出してみる」などというアイディアを出したり、、、

コンセプトや誌面作りは試行錯誤を繰り返し、会議は毎回長時間に及ぶ白熱したものでした。
私は、前職で建設関係の仕事に就いていたこともあり、工場や現場で己の技術を武器に働く職人さん達に、強いリスペクトを持っています。
そういった土台もあったのでしょうか、最終的に「女性目線は必要だが胸キュンでは無く『現場のかっこよさ』を女性にも感じられるものにしたい」という小早川さんの編集方針を、すんなりと受けいれることができました。

そして、万人の心を掴まなくても良いから、工場男子のありのままの魅力を伝えるものにしたいとの想いに繋がっていきました。
そして「現場のかっこよさ」を意識しながらも「女性目線」も意識した写真選定を行いました。
「工場男子のありのままの魅力を伝える」ために、デザインはページの要素を最低限にしぼり、あえてシンプルにまとめてみました。
彼らの真剣な眼差しと素のコメント、「〇〇男子」などの名称とがストレートに伝わるものになったのではないかと感じています。
工場男子達の持つそれぞれの雰囲気と魅力、読者の方々にそれらを壊すことなく伝えられていたら幸いです!

 

◆写真の選定について

真剣な眼差しで働いている姿は、とても尊いものです。
写真を選定する際は、真剣な表情の写真はもちろん、取材慣れしていなくて照れている表情や、ふとした瞬間に笑顔が溢れてしまったところなど、彼らの素の部分が垣間見れるようなものを丁寧に選びました。

現代は、作り込みすぎて不自然であったり、素を装りつつも素ではない写真が溢れています。
しかしながら、この写真集には一切飾りがありません。
結果として、「男臭い写真集にしたい」という小早川さんの思惑通りに仕上がり、それが新鮮に感じられる時代だからこそ、多くの方の共感を得られているのではないかと思います。

◆あだち工場男子のオススメポイント

前半の働く姿とは打って変わり、後半の各会社案内のページでは、工場男子と社員の方々が満面の笑みで写っている写真を使っています。
前半の写真集部分とのギャップがありますが、とても良いと感じています。
工場男子以外の社長さんや社員さんも、本当に屈託のない笑顔でレンズに向かっています。
そこには当然上下関係があるはずですが、それを感じさせず、お互いを尊重し合っている様が伝わってきます。
前半のものづくりの厳しさや真剣さと相反して、人に対して優しさを持っているという足立区の下町らしい側面も垣間見ることができます。
こういった写真集では、舞台裏を隠す方がクールかもしれませんが、敢えてカメラに向かっての満面の笑みの写真を使うことで、足立区の良さをより一層引き出せたのではと思います。

そういった意味で、後半の会社紹介ページの各社の笑顔写真も、実はオススメなのです。

◆あだち工場男子の個人的お気に入りページ

忘れてはいけないのが、ぽろっと3ページあるコラムです。
読み飛ばしてないですか?(笑)「ミスター足立区」と呼ばれるレジェンドのコラムです。
このレジェンドの笑顔がもうたまりません。苦労を乗り越えた人だけができるあの笑顔!
若い方の写真も良いですが、色んな時代を乗り越えて、経験を積んできた方の笑顔、たまりませんね。
そして!「あの頃は、工場のオヤジに青酸カリを撒かれていました」というタイトルです。
「もしかしたらこのタイトルは却下するかもしれない」という話を小早川さんから受けましたが、最終的にご決断いただきこのまま世に出していただきました。

ショッキングかも知れませんが、当時を伝えられるインパクトあるお話です。
個人的には、自分が編集した中で、このタイトルが一番のお気に入りです。

◆プロフィール

北川 祐介

元・東京商工会議所足立支部 経営指導員
(現在:ブルーイノベーション株式会社 執行役員)

 

◆プロジェクトに参加した経緯

 私がMCを務めていたインターネット放送のゲストに、しまや出版の小早川社長をお迎えしたのがきっかけでした。
 その放送後の打ち上げ時に、小早川社長から「あだち工場男子」の企画を考えていることを教えていただきました。
 「これは、まさに商工会議所が取り組むべき事業です!」と強く感動したことを今でも鮮明に覚えています。

◆この撮影にかけた想い

 東京商工会議所足立支部に赴任して来てから、製造業の経営者とお話することや現場の工場を訪問する機会が格段に増え、中小製造業の課題の一つに「人材確保」があることを実感しました。
 その原因として、就職を控えた若者のものづくり企業への関心低下がもちろん挙げられるのですが、そうした若者の父親・母親達も誤った先入観を持っていることが根深い問題であることを知りました。
“町工場の労働環境は3K”というイメージが未だ強く残っており、せっかく子供達が「ものづくりに携わる仕事がしたい」と希望しても、その会社の工場を見学することもなく「3Kだから辞めておきなさい。
普通のオフィスで仕事する職業の方が良いよ」とアドバイスする親は少なくないというのです。
 今や製造業の現場は5S活動が深く浸透し、労働環境は機能的に改善されています。
 一般的なオフィスよりもよほど清潔で働きやすい工場が増えているという現状を、多くの方々に正しく知ってもらいたいという気持ちがこのプロジェクトへのモチベーションでした。
 活き活きと働く格好いいモデルの背景に写っている工場の様子にも是非注目してもらいたいと考えています。

 

◆この撮影で苦労したこと

 生々しい話で恐縮ですが(苦笑)、資金面の問題は大きなハードルだったと思います。
 何せ商工会議所はとても予算が厳しくて…。
 小早川社長やカメラマンの永井さんから「そんなことは後から考えれば良い。心配するな」と言ってくださり、このお二人が採算度外視で活動を始めたことが多くの企業にご協力いただけた要因の一つではないでしょうか。
 加えて言うと…、今回のプロジェクトは商工会議所の通常の事業よりも随分“やわらかい”ものなので、会員企業や本部事務局への説明は少し苦労しました。
 ただ、多くの製造業の方々には、今回のプロジェクトの背景やコンセプトなどを説明すると、とても熱心に応援してくださったことが嬉しかったです。